コロナ禍での大学生活
この記事は佐賀新聞社2021年2月26日発行
タブロイド版「エール」13面に掲載されたものを転載許可を得て掲載しています
佐賀大学では昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で卒業式が中止、前期の授業は当初の予定通り開講できず、約2週間遅れてスタートしました。ようやく始まった授業もオンラインが大半で、大学生活が劇的に変化した年でした。現在も続くコロナ禍の中、これからも学生が安心して大学生活を送れるよう、学びや生活環境を整える佐賀大学の取り組みを聞きました。
話を聞いた人 国立大学法人 佐賀大学
学びの環境はいかがですか。
本年度はコロナの影響で、大学生活が大きく変化しました。佐賀大学でも、オンライン授業に切り替えざるを得ない状況となり、ほとんどの授業はオンラインにシフトしました。大学では既にオンライン授業に対応するため、1000人が同時に接続できるシステムを導入しているので、ハード面での環境整備は問題ありませんが、教材をオンライン対応に切り替える必要がありました。当初は、オンラインでのコミュニケーションに戸惑う学生もいましたが、すぐに慣れました。
来年度は基本的に授業は対面で、オンラインのメリットが大きい科目はそのまま継続します。対面授業は、3密を避けるため、講義室の入室者数を座席の半分を目安に減らします。
さまざまな制限はありますが、オンラインのツールも刻々と進化しているので、その都度対応しながらよりよい学びの環境を整えていきます。
対面授業とオンライン授業の違いは。
対面授業とオンライン授業を受けた学生にアンケートを取ったら、どちらでも遜色ないという結果でした。オンラインで学ぶ授業の質は問題ないと思います。オンライン授業では、講義中にチャット(その場で端末に文字を入力して会話すること)を通じて発言することも多くなり、対面授業の時よりも学生一人一人の存在がはっきり分かるようになりました。人に会うのは苦手という学生も、オンラインなら授業を受けやすいというメリットもあります。
コロナ禍の環境に不安に感じる学生も多かったのでは。
昨年はコロナ禍で、孤独感やオンライン授業への不安、経済的な不安などを訴える学生が増えました。メンタルや体調不良を感じている学生には「学生支援室」や「保健管理センター」「キャンパスソーシャルワーカー」がサポートします。相談は対面のほか、電話やメールでも受けています。
大学側も昨年の経験から、コロナ禍での対処の仕方が分かったところも多いので、心配しないでキャンパスライフを楽しんでほしいと思います。
サークル活動はできますか。
コロナの感染状況によっては、制限がかかったり禁止になることもあります。本年度は対面での活動が難しかったため、例えば新入生へのサークル勧誘は、学生が組織する「学友会」が動画を撮影し、YouTubeにアップするなど、さまざまな工夫をしていました。
また、サークルの先輩がツイッターで後輩をフォローして相談に乗ったり、パソコンに不慣れな新入生にツールの使い方を教えるなど、学生が自主的に新入生のサポートをする姿が目立ちました。
学生にとって大学は学ぶだけではなく、居場所としての機能も大きいです。これまでは大学を中心に課外活動や仲間づくりができ、講義室や学食などでコミュニケーションが生まれていましたが、コロナ禍の中では難しくなっています。コロナはキャンパスライフに大きな影響を与えましたが、悪い面ばかりではありません。学生自身、人と会う機会が減ったため、大学が発信する情報などは、人を頼りにせず確実に自分でキャッチする必要があります。学生は以前より自立的に責任ある生活をするようになったと思います。
誰も想像したことがなかったコロナ禍の中で、変化する状況に順応しながらキャンパスライフを送った経験は、将来どんな困難も乗り越えられる大きな財産になると思います。
この記事は佐賀新聞社2021年2月26日発行
タブロイド版「エール」13面に掲載されたものを転載許可を得て掲載しています
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