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【Special Contents Vol.24】インタビュー/理工学部理工学科 都市工学部門 大串 浩一郎 教授

武雄市のシンポジウムに登壇 地域で培われてきた治水に評価を

近年増える水害で求められる流域治水

昔から災害の多い日本ですが、特に近年は毎年のよう水害が発生しています。佐賀県でも平成30年、令和元年、2年、3年と続けて大雨特別警報が発令され、浸水などの被害に見舞われました。その原因には海水温の上昇など気候変動の影響が挙げられます。線状降水帯は東西に伸びて発生することが多いことから、佐賀県とその周辺では筑後川や六角川といった東西に広がる河川流域で特に災害が多発しています。甚大化する自然災害に対する適応策として国では令和3年から流域治水を進めています。また、温暖化対策としての地球規模の緩和策も重要な課題です。

▲令和元年8月佐賀豪雨、佐賀大学周辺の様子

国・県・市が治水とまちづくりを語る

今年5月、佐賀県でも特にこれまで大きな水害が起こっている武雄市にて「2022防災フェスタ・治水シンポジウム」が開催され、私が進行役を務めさせていただきました。武雄市・佐賀県防災士会が主催したもので、災害において自ら身を守る「自助」と地域で助け合う「共助」について知識を深めることが目的です。シンポジウムは武雄の治水とまちづくりをテーマに、国土交通省武雄河川事務所所長、佐賀県危機管理・報道局副局長、武雄市長が登壇。冒頭で私から令和元年・3年の六角川水系流域における豪雨災害の概要を説明した後、市長が「新・六角川水系流域治水プロジェクト」についてお話されたほか、国や県から担当する今後の水害対策について説明されました。定員250人に対し300人もの来場者があり、オンラインで視聴された方々もおられ、皆さん熱心に耳を傾けられました。水害による街の衰退を危惧する切実な声も聞かれましたが、終了後「武雄市が国や県と連携して今後どのような取り組みを行っていくのか理解できた」との感想もいただけました。

▲近年水害が多発している久留米市周辺の地形と建物の分布に関する解析の一例

伝統的な治水技術を評価 暮らし続けられる地域へ

佐賀平野の河川は有明海という国内最大の干満差のある内湾に注いでいるため、治水上難しい面があります。一方、山地部が少なく水資源対策が古くから行われてきました。平野部を縦横に走るクリークはその一つで、佐賀は国の取り組みに約400年も先行して流域治水を行なってきた地域といえます。今後は各地域で培われた治水技術を評価し、持続可能な暮らしを実現する術を磨いていかなければいけません。
理工学部流域水工学研究室 (大串研究室)ではSDGsプロジェクト研究所や低平地研究会などとも連携し、大学で得られた知見を社会に還元するため研究や教育・社会貢献を引き続き行なっていきますので、ぜひご注目ください。

▲流域水工学研究室の学生たちと

参考「重ねるハザードマップ・わがまちハザードマップ」
https://disaportal.gsi.go.jp/
「佐賀市の浸水状況」
https://sagacity-sinsui.aquasmartcloud.jp/

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