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【Special Contents Vol.23】インタビュー/教育学部 学校教育課程 吉岡 剛彥 教授

「自分らしさ」の発揮を妨げる社会要因に気付き、語り合おう

社会的弱者は本人が弱いわけではない

法哲学を専門として、社会的少数者(マイノリティ)の人権をテーマに研究しています。マイノリティとは、世の中の在り方や仕組みによって不利な立場に置かれ、本来の力を奪われた人たちのことです。
LGBTQ+、障がい者、外国人などすでに認識されている人たちももちろん重要ですが、そうした名前がまだなく、気付かれずに息を潜めて暮らしている方もいるでしょう。その小さな声にも気付き、当事者が自らの希望や能力、つまり自分らしさを発揮するのを邪魔している社会構造があれば、それをより良い形に改善する手立てを示すことが、この分野を研究する者としての役割です。かれらは「社会的弱者」とも呼ばれますが、決して本人たちが弱いわけではなく、多数者側の制度や意識によって弱者にさせられているだけであるという認識が前提です。

▲社会的少数者に関する書物がぎっしりと並ぶ研究室。
書物で多くの事例に触れ、人に出会うことが問題に気付く

誰もが自分らしく生きられる社会とは

法哲学的視点からみると、自分らしさの発揮を困難にする最たる要因の一つ、”ジェンダー”の批判が重要となります。性別を理由として生き方に縛りをかける意識や慣習のことです。これを解消することが個々人の多様な生き方を開花させられる社会の実現につながります。

明日は我が身と捉え知ることから始めて

ジェンダー問題について、残念ながら日本ではまだ根本的な変革が起きているとは言い難い現状です。そんな時、他国の社会制度は大いに参考になります。
例えば性別役割分業の課題については、北欧のクオーター制のように、男性に一定の育児休業を法律で割り当てる策も有効でしょう。当事者でないマイノリティの問題について考える時、私たちは想像力を発揮するしかありません。もしかすると明日、自分がマイノリティの立場に置かれるかもしれない。だからこそ誰もが安心してマイノリティになれる社会を用意しておく方がいいと考え、私はこの研究を始めました。
現状に疑問や生きづらさを感じて社会のあり方を改善していきたいと考えてる皆さんと集い、意見を交わし合えるように願っています。

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