【SpecialContentsVol.63】実践智で未来を拓く ―佐大ビジョン2040―

佐賀大学にはこれまで「佐賀大学のこれから ービジョン2030 ー」という将来計画がありました。2025年10月、野出孝一学長が佐賀大学学長就任後、「さらに先の未来まで見通した計画を作ろう」と、2040年までを見通した新しいビジョン「実践智で未来を拓く ー佐大ビジョン2040ー」を策定しました。この新たなビジョンは、野出学長のスローガン「実践智で未来を拓く」が中心理念となっています。
「実践智で未来を拓く-佐大ビジョン2040-」の理念とは
ここで改めて「実践智」について紹介します。一般的な「知識」というのは、教科書で学ぶような内容のこと。「実践智」はそこにさらに、状況判断力・行動力・経験・倫理観を加えたものです。英語で言うと「Knowledge(ナレッジ)」ではなく「Wisdom(ウィズダム)」、つまり知恵に近いイメージとなります。「知っているだけでなく、実際の場面で使える力を育てよう」という考え方で、学生だけでなく教職員も含めた全員がこれを身につけることを目指しています。
この実践智と共に、基本コンセプトとして掲げられているのが、従来の「地域貢献大学」から一歩進んだ「地域未来共創大学」という考え方です。これは、従来の「地域貢献」とは異なり、大学が地域の未来像を主体的に構想し、その実現を社会とともに先導する「共創の中核」になるということです。地域を「学び」と「社会実装」の場として位置づけ、産官学民との協働を通じて新たな社会的価値を創出。地域との関係は、利他的な一方向の関係性にとどまらず、互いに「win-win」の共創関係を目指します。
また、経営理念の中核として「人的資本経営」が挙げられています。教職員と学生、ヒトを最も重要な資本と位置づけ、教職員と学生の活躍が最大化する環境を整備することが重要視されます。現在の世代だけでなく、50年後・100年後の未来の世代のために研究・診療・教育を行うという長期的視点も重視しています。
※詳しい内容については「実践智で未来を拓く-佐大ビジョン2040」ページをご覧ください。
教育、研究、社会貢献、国際貢献、法人経営の領域毎のビジョン
この将来ビジョン「実践智で未来を拓く」の実現に向けて佐賀大学では、教育、研究、社会貢献、国際貢献、法人経営の領域毎のビジョンを定め、2040年までの取組を進めていきます。

教育 ― 教学相長1と伸育による未来共創人材の育成
■教職員と学生が互いに学び、高め合う「教学相長(きょうがくあいちょうず)」を根幹に据え、学術的探究と実践的経験を往還する学修を通じて、知識を社会の中で活かす力を育みます。
■正課教育、課外活動、地域連携を有機的に結び、学生が自ら課題を発見し、協働しながら解決する学びを推進します。
■可能性を最大限に引き出す「伸育(しんいく)」により、多様な主体と共に未来社会を構想し、新たな価値を創造する人材(Co-creator)を育成します
研究 ― 智の統合による学術フロンティアの創出
■本学の強みを基盤に、異分野融合によって智を統合し、新たな学術領域を創出します。
■「共利」の精神のもと、基礎研究と社会実装を志向する実証研究を相乗的に展開し、地域課題解決を起点とした成果を世界へ発信します。
■新たな社会的価値と学術フロンティアを切り拓き、未来社会のウェルビーイングに貢献します。
社会貢献 ― 智の連携による持続可能な未来社会への変革
■「共利」を原動力とした自律分散型社会の核となる共創プラットフォーム2を構築します。
■知的資本と物的資本を社会に開放し、産官学民の連携によって地域課題を解決するとともに、新たな産業を創出します。
■地域や現場を学修の場とする実践教育を通じ、挑戦するCo-creatorを社会へ輩出します。
国際貢献 ― 智の循環による世界人の輩出と国際互恵
■世界から学生と研究者が集い、多様な文化や価値観が響き合うキャンパスを実現します。
■開かれた環境のもと、互いを尊重し支え合う「国際互恵」の精神を体現し、未来社会を構想し自ら行動するリーダー「世界人」を育成します。
■教育と研究の成果を国際社会へ還元し、国境を越えた智の循環(国際頭脳循環)を生み出すことで、世界の課題解決に貢献します。
法人経営 ― 人的資本価値を最大化3する法人経営
■人的資本を経営理念の中核に据え、持続的成長と社会的価値を創出します。
■心理的安全性4の高い組織を構築し、DEI&B5を推進するとともに、挑戦を正当に評価する組織文化を醸成します。
■ブランドガバナンス6と統合アセットマネジメント7を確立し、DX8を活用した機動的かつ戦略的な法人経営を実現します。
1.教学相長(きょうがくあいちょうず)
教えることと学ぶことが相互に作用し、共に成長するという考え方。中国古典『礼記』に由来。
2.共創プラットフォーム
大学がハブとなり、自治体・産業界・市民が対等な立場で参画し、地域課題の解決策を企画・立案・実行する仕組み。従来の地域構想推進プラットフォームを発展させた、実装志向型の共創基盤を指す。
3.人的資本価値の最大化
教職員・学生・ステークホルダーを資本と捉え、能力・知識・経験を最大限に引き出し、大学の成果と持続的成長につなげること。
4.心理的安全性
多様な人材が相互に尊重され、安心して意見を述べ、能力を最大限に発揮できる組織的基盤を指す。
5.DEI&B
多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包摂性(Inclusion)、帰属意識(Belonging)を通じ、心理的安全性の高い組織を実現する考え方。
6.ブランドガバナンス
佐賀大学の価値・信頼・評価を中長期的に最大化するための統制・管理の枠組み。
7.統合アセットマネジメント
ヒト・モノ・カネ・スペース等の全経営資源を横断的に管理・配分し、全体価値を最大化する仕組み。
8.DX(デジタルトランスフォーメーション)
AIやデータ利活用などのデジタル技術を通じて、教育・研究など、大学の在り方を変革し、学修成果や社会的価値の向上を図ること。
今回ご紹介した「実践智で未来を拓く-佐大ビジョン2040-」は、学長や理事だけで決められたわけではなく、学生や教職員からも広く意見を聞きながらつくられました。大学内のコンセンサスを丁寧に形成しながら作り上げたというのは、大きなポイントです。今後はこの「実践智で未来を拓く-佐大ビジョン2040-」に基づき、学内外で様々な取組を進めていきます。佐賀大学の活動にご注目ください!
詳しくは「実践智で未来を拓く-佐大ビジョン2040-」ページをご覧ください。
https://www.saga-u.ac.jp/vision2040/index.html
「実践智で未来を拓く-佐大ビジョン2040-」ブック(PDF)
https://www.saga-u.ac.jp/vision2040/assets/pdf/VisionBook2040_A4.pdf
動画【さきどり情報局】 令和8年6月号『「実践智で未来を拓く佐大ビジョン2040」公表!』もあわせてご覧ください。
