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佐賀大学も試行錯誤を続ける非対面授業の手法 オンライン授業

この記事は佐賀大学広報誌 第44号「かちがらす」
佐賀大学広報室2021年3月発行に掲載されたものを転載許可を得て掲載しています

 昨年8月、前学期授業に関する学生アンケート(*)を行いました。「学習目標の達成実感」「授業の満足度」は昨年度と変わらず、「授業時間外の学習時間」は1時間以上の割合が1.5倍。「主体的な学習の機会(授業中に学生が、書く、話す、発表するなど)の有無」については、主体的な学習があったとする回答が6割から4割に減少しました。

 オンラインの遠隔授業には主に同時中継、動画配信、資料配布の3つがあります。教育学を専門とする全学教育機構高等教育開発室の山内一祥先生は、主体的な学習を引き出すには同時中継型の授業が望ましいと言います。「後学期のある授業を同時中継と動画配信を組み合わせて設計しました。実際に授業を始めてみると動画配信では正規の時間に動画を視聴する学生が少なく、学生同士の意見の交流や学生からの質問への対応が難しいことが分かりました。それが学生の主体的な学びを阻害するのではと考え、後半予定していた動画配信を同時中継に変更しました」。同時中継で学生に質問をすると瞬時に反応があり、教室と変わらない授業が実現できて学生の感想も動画配信より満足度が高いようです。

 学生がグループで一緒に考えることができないのがオンラインの難点ですが、それを解消するソフトウェアもあります。「意見交換できるプラットフォームで、付箋に記入してオンライン上のホワイトボードに貼り付けるワークショップ型の授業が可能」と山内先生。これを使えば学生は授業時間外にも課題に取り組むことができ、先生はグループワーク中も作業を一覧、効果的にサポートすることができたと言います。また、オンラインツールを使うことで学生はいつでも先生に質間でき、質問をする人数も増えたそう。「ただ休日や深夜にも連絡があり、さすがに24時間対応は無理でしたね」と嬉しい反面、対応の難しさもあるようです。

▲ホワイトボード機能を持つソフトウェアmiroで、学生が意見を書いた付箋を貼り付けた画面

 オンラインは教育の方法の一つ。対面での授業とオンラインをうまく組み合わせることで、学生の学習の質を一層高められる可能性があります。一人の学生と一対一でやりとりをしたり、大人数の受講生がそれぞれの学びを共有したり、先生たちは細部まで工夫しオンライン授業にあたっています。

*【調査概要】対象者:2020年度前学期授業の全受講生、調査対象科目数1,729科目(回答件数:28,698件)、調査実施期間:2020年度8月3日~8月31日、回答率58.72%(※2019年度は48.25%)

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