【SpecialContentsVol.27】インタビュー/経済学部 経済法学科 平部 康子 教授
自治体や企業、学生が協働する「社会課題研究センター」の取組み
経済・経営・法学を生かした研究機関
本学は九州・山口で唯一、経済学部で法学を学べる国立大学です。「社会課題研究センター」は、経済学・経営学・法学という3つの社会科学の専門学科を抱える本学経済学部の特色を生かし、教員・学生・自治体や企業が協働して多角的な視点で社会課題解決の方向を探る研究を行っています。1989年に地域経済研究センターとして開設され、佐賀県内全10市等とのコンソーシアム「佐賀地域経済研会」とともに調査や研究を実施し、地域社会の課題解決に努めてきました。2021年度からは現在の名称に改め、研究・調査の対象を地域経済に限らずより広範囲にしていくとともに、行政・企業と学生をつなぐ役割にも力を入れるようにしました。
行政や企業との協働で活動も多彩に
本センターの活動例をご紹介します。経済学部1年生が「経済×法」「経営×法」で成り立つ経済社会を学ぶ「社会課題演習」では、教員以外に佐賀県内の自治体や企業の方にも講師を依頼。これまでブラックモンブランの竹下製菓株式会社による「アイスクリーム製造業を取り巻く社会のルール」、プロバスケットボールチームの佐賀バルーナーズを運営する株式会社サガスポーツクラブによる「財務から見るプロスポーツクラブの一般企業との違い」といった授業が行われました。
「学生チャレンジ地域連携プロジェクト」は、学生が地域課題解決のための調査・研究を企業や行政と協働して行うものです。ゼミなどのグループからプロジェクトを公募、採択された課題には助成金を付与し、活動を後押しします。
佐賀県および県内10市公益財団法人九州経済連合会佐賀地域委員会、佐賀大学等で構成される「佐賀地域経済研究会」は、県内の地域問題に関する情報交換や研究を通じて地域振興への寄与を目指し、例会や担当自治体との共同調査・研究を行っています。昨年度は「佐賀県内の地元就職の課題~地域・企業の魅力の発信~」のテーマで共同研究を行い、6月にシンポジウムを開催しました。
「生の社会課題」に教員と学生が取組む場
本センターで学生は研究だけでなく成果発表も行うため、人に伝える前提で物事を思考し、言語化する力も付けています。他の学生の発表を見て学ぶことも多いようで、自発的に学びが起こっているのは素晴らしいことだと思います。経済・経営・法という3つの分野を持つ経済学部という特色を生かし、地域のさまざまな方が「先生」となって社会課題に取り組む場づくりが、本センターの役割です。今後も教員と学生には積極的に「生の社会課題」に取り組むことを期待します。